土木鋼構造研究会│土木鋼構造物に関する技術向上のための学術研究・情報交換・人的交流

土木鋼構造物に関する技術向上のための学術研究・情報交換・人的交流を目的とした産学の研究会です

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イベント情報

令和6年度 現場見学会のご案内(令和6年11月28日(木))

令和6年度現場見学会を九州地方整備局下関港湾空港技術調査事務所様、日本製鉄八幡製鉄所様のご協力をいただきまして、実施いたします。
午前は、九州地方整備局下関港湾空港技術調査事務所を訪問し、波浪が及ぼす影響を水理実験により確認する試験場を見学します。午後は、日本製鉄八幡製鉄所を訪問し、東京ドーム約150個分の広大な敷地の中、鉄鋼製品の製造工程(高炉・熱延工場)を見学します。ぜひご参加たまわりますようお願い申し上げます。なお、準備の都合上、9月30日(月)までにお申込みをお願いいたします。(会員の皆様には別途事務局より申し込み案内状をお送りいたします)
 
日時:令和6年11月28日(木) 8:00~17:30(7:45受付開始)
場所:九州地方整備局下関港湾空港技術調査事務所、日本製鉄㈱九州製鉄所
集合場所:請川公園(宇部市あすとぴあ3丁目4)
募集定員:最大40名(定員に達しましたら締めきります)
申込要領:事務局までe-mailまたはFAXでお願いします
申込〆切:令和6年9月30日(月)
参 加 費:無料(会員限定)
スケジュール:
07:30 受付開始
08:00 請川公園発
09:30 九州地方整備局 下関港湾空港技術調査事務所着
11:00 九州地方整備局 下関港湾空港技術調査事務所発
11:30 門司港レトロ着(昼食)
12:50 門司港レトロ発
13:30 日本製鉄㈱九州製鉄所着
15:30 日本製鉄㈱九州製鉄所発
17:00 請川公園着
※現地の状況により、時間が多少前後する可能性があります
その他注意事項:

作業着等よごれてもいい服装(長袖・長ズボン)とかかとの低い靴、軍手の準備をお願いします。また、時節柄、防寒対策をお願いします。
小雨決行ですが、荒天の場合には中止します。中止する場合は前日正午までにe-mailにてお知らせします
現地集合場所(請川公園)には各自できるだけ乗り合ってお越しください
請川公園からは船木鉄道(株)の貸切バスでの移動となります

本行事は土木学会CPDプログラムに認定申請する予定です
見学は20名×2班で行います。当日、あらかじめ班分けを行いますので班ごとにまとまって行動をお願いします
法人会員は何人でも申し込み可能ですが、多数の場合は調整させていただく場合があります
昼食は門司港レトロ停車中に各自でお願いします

活動報告

活動報告は随時更新しています。

令和6年度 総会・基調講演会(令和6年7月19日(金))

令和6年度総会・基調講演会を開催しました。総会では令和5年度事業報告および決算・監査報告、令和6年度事業計画および予算について審議し、可決されました。
基調講演会では、本州四国連絡高速道路株式会社参与の大江慎一様より本州四国連絡橋の最新の保全技術について、また、国土交通省中国地方整備局山陰西部国道事務所長の大西良平様から山陰西部国道事務所の事業概要ついて2現場からの中継を交えてご講演をいただき、社会資本の整備および維持管理に関するたいへん貴重な知見を勉強することができました。

(1)令和6年度総会
 日時:令和6年7月19日(金) 14:00~14:20
 会場:常盤工業会館:2階会議室(山口県宇部市東梶返1−10−8)
(2)基調講演(CPD2.0)
 日時:令和6年7月19日(金) 14:30~16:30
 会場:常盤工業会館:2階会議室(山口県宇部市東梶返1−10−8)
 講師:大江慎一氏(本州四国連絡高速道路株式会社 参与)
 講演題目:本州四国連絡橋の保全の取り組み~200年橋梁を目指して~
 講師:大西良平氏(国土交通省中国地方整備局山陰西部国道事務所 所長)
 講演題目:山陰西部国道事務所の事業概要

 参加人数:62名
(3)懇親会
 日時:令和6年7月19日(金) 18:00~20:00
 会場:宇部新川周辺
 参加人数:29名

<主な質疑応答>
講演1: 本州四国連絡橋の保全の取り組み~200年橋梁を目指して~
講師:大江慎一氏(本州四国連絡高速道路株式会社 参与)
Q:補修費は、総額はどの程度になるか
A:総額で5千億円~6千億円と考えており年間では100億円程度の補修費となる
Q:特に補修費がかかる部位や特徴的な構造があれば教えていただきたい
A:トラス部の補修が箱桁等に比べると圧倒的に手間がかかる。これは、アクセスしにくいことと構造が複雑であるためであり、特に縦桁を支持する支承が多いことから、補修費がかかる傾向にある。一方で箱桁は塗装面積が少なくアクセスも容易、支承も少ないことからトラス構造に比べると補修費が少ない
Q:ケーブル送気乾燥システムについて、吊橋であれば供用後でも取り付けられると思うが、斜張橋ケーブルの場合はむつかしいと思う。別の防食システムがあれば教えていただきたい
A:乾燥システムは置く場所さえあれば設置することは可能と思われるが、斜張橋ケーブルはポリエチレンで被覆しているため非常に防食性が高い。しかし絶対ということはないので必要に応じて調査を継続していく予定である
講演2:山陰西部国道事務所の事業概要
講師:大西良平氏(国土交通省中国地方整備局山陰西部国道事務所所長) 
Q:DXやICT等を積極的に取り入れられているが、取り入れた結果の生産性向上の評価はどのようにされているのか。また、山陰道の整備において山口県の進捗が他県に比べて遅くなっている理由について教えていただきたい。
A:労働生産性については、さまざまな手法を用いて評価を行っているが、ICTを積極的に推進してきたここ5年または8年で2割程度向上している。ICT施工を実施することにより生産量に対する総労働時間が減少しており、着実に労働生産性の向上につながっていると認識している
山陰道については、政府の計画で昭和45年ころにはじめて触れられたものであるが、それによると国道9号に近いものであった。県土軸が1本の鳥取県、島根県に対し山口県は山陰、山陽の2軸あり、まず山陽側から櫛の歯状に整備されてきた経緯もひとつの要因ではないかと思う。

令和5年度 技術交流会(令和6年2月20日(火))

令和5年度技術交流会を「山口から考える、土木構造物の未来と防災2024」をテーマに開催しました。本会の目的である「会員相互の研鑽と知識・技術の向上」という観点から、当会会員の4人の若手講師にご登壇いただき、地域社会における土木鋼構造物のあり方や技術者として目指すべき方向、足元の課題について考えました。
 
<第1部 技術交流会>
日時:令和6年2月20日(火) 14:00~17:00
場所:常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)
テーマ:山口から考える、土木構造物の未来と防災2024
講演1 浸水対策としての水門
 新光産業(株)白石敬一郎 氏
講演2 ため池とその役割
 (株)山口建設コンサルタント 工藤真弓 氏
講演3 橋梁耐震補強製品のご紹介
 (株)エスイー 壷阪明生 氏
講演4 長大橋における腐食調査、補修検討の取り組みについて
 (有)アイエムジー 笠原 翔 氏
参加人数:46名

<第2部 意見交換会>
日 時:令和6年2月20日(火) 18:00~20:00
場 所:宇部新川周辺
内 容:懇親・参加者によるフリーディスカッション
募集人数:24名

<主な質疑応答>
●講演1 防災・減災対策について/新光産業(株)白石敬一郎 氏
Q:業務で水門樋門の点検業務を行っている。点検を行う上で土木構造物部分と設備の部分の2つを点検するが設備の点検を行いにくい。定量的に計測・評価可能なものがあるか。例えば、水門の上げ下げを行う際に温度が上昇して40度以上であれば良いとか音による判断が可能であればと思う。この点について指標があれば教えていただきたい。
A:場所に応じて音は異なり、その判断は難しい。銘板等で水門メーカを特定し、問い合わせ当の相談いただくのも一つの方法であると思う。
麻生先生:点検等で困っておられるのであれば、本会で点検講習を行うのも良いと思う。
Q:樋門・水門について動力ゲートやバランスゲート式があると思うが作っている業者さんが北海道など遠方であるため、御社で動力ゲートを製作していただければと思うがいかがでしょうか。
A:本来であればそういう製品があればと思うが、特許などの問題があり、それをクリアしないと新しいものが作れない。今後は社内で検討しその方向も考えていきたい。
Q:陸閘に関して横引きゲート6m程度で大型車両が通るゲートについて、最近発注されることが多い。発注された工事については、下部工の図面、計算書がないということがたまにある。陸閘の基礎の検討について設計資料、基準があれば教えていただきたい。また維持管理者に基礎の検討が必要であることを設計段階で提案することも必要。
A:陸閘の基礎は悩ましいところである。実際に行った箇所では基礎の計算が行われていない状態で発注されており、施工段階でコンサルタントに相談して対応している。そういう事象があることは認識しているので、設計段階で検討することが可能であれば教えていただきたい。
A:横引きゲートやスライドゲートを設計しているが大きな車両がゲートを通ることを設定していないため、車両に対する基礎の検討は行っていない場合が多い。現実は車両が通るため、基礎の検討を行わないとゲートが変形し性能を維持することが出来ないので今後、検討の対象にしなければならない。
Q:白石さんから見た新光産業の社風を教えてください
A:大変良い会社である。福利厚生もしっかりしており、設計して、製造が製品を作って事業を行っている。いいものを作りたいというところを目指している会社であり、良い会社であると思っている。
●講演2 ため池とその役割/(株)山口建設コンサルタント 工藤真弓 氏
Q:次の世代に専門家として求めることがありますか・
A:徳山高専 海田先生
求めるものはたくさんあると思う。最近感じるのは専門を何にするにせよ、楽しむことが大切。興味を持つものを見つけることが大切だと思う。
やらされてるというよりは、楽しむ姿勢で物事を行うということが大切と思う。
A:山口大学 麻生先生
当たり前を当たり前と思わないことが大切だと思う。インフラは財が投入され、そのサービスが提供されいる。そのため、この感覚は大事だと感じている。
Q:調査でこれは大変だと思うことがあれば教えてください。
A:土取り場調査が難しかった。GISを扱うことが初めてで貴重な体験があった。候補地の用地調査をするのが大変で、所有者が高齢で誰のものかわからなかったので難しかったが貴重な経験となった。
Q:質問を2つします。
①資料p19の鉄筋挿入みたいな棒で土を取ることができるのか。
②ため池の浚渫をして土を取り除いた後に水が褐色の色になった。浚渫の影響なのか別の影響なのかがわからなかったが知見があれば教えていただきたい。
A:①については、人力で押し込んで採取することが可能です。②については私自身経験したことがないのでよくわからないが、浚渫したことにより微生物の活動が活発になったこと、あるいはため池底部の土砂の影響かもしれない。

Q:地域住民の防災意識を高めるというところですが、住民を巻き込むことが一番難しいと思う。ハザードマップにおいても、何かないと見ません。どうやったら住民を巻き込むことができるか、お考えがあればお示しください。
A:いなみ野ため池ミュージアムというものがあります。ここでは、ため池と博物館などが一体となっており、小さいころから住民が関わる施設ができています。山口県でもこのような施設を活用したら良いと思う。
Q:能登半島地震における決壊などため池と防災について具体的に教えていただきたい。
A:もしかしたら決壊しているかもしれないが現時点で調べるとため池の決壊は見られないようでした。
Q:ため池の耐震性能が向上しており決壊しなかったということがあるか。
A:ありえるかもしれないが詳細はわからない。
Q:豪雨による決壊メカニズムで多いパターンはどのようなものがあるでしょうか。
A:越流・すべり・浸透破壊の3つが多いと思う。
Q:豪雨により決壊させないような技術がため池分野においてあるでしょうか。
A:人工的に作られた材料でため池を補強するなどもあると思う。このような材料をうまく活用すれば池を決壊させないことが出来ると思う。
●講演3 橋梁耐震補強製品のご紹介/(株)エスイー 壷阪明生 氏
Q:p34資料で、ケーブルを垂直に設置しているが、一般的に水平方向等になると思うがこの方向にした理由はあるか。
A:上揚力に対して取り付けているのでこのような形にしている。
Q:タイブリッジがエネルギーを吸収するということだが、他の製品とどのように使い分けをしたら良いのか。
A:タイブリッジは変位制限の機能を持たせた製品であるがエネルギー吸収型として付加価値を付けた商品として販売している。
Q:外ケーブルは温度の影響を受けやすいと思うが熱膨張に対する影響はあるのか。また、張力の調整は可能であるか。また、落橋防止でスプリングを使っているがグラウンドアンカーに予めテンションをかけるが、ダム等の斜面対策でテンションが半分になったことがある。そのような現象に足して工夫された事例があれば教えていただきたい。
A:アンカーはくさびの構造であるがくさびは緊張力が調整しにくい。マンションの場合は緊張力の調査を行いやすい。また、温度変化を考慮して張力を調整しておくことも可能で、このような特徴は維持管理面でも有用と思っている。
●講演4 長大橋における腐食調査、補修検討の取り組みについて/(有)アイエムジー 笠原 翔 氏
Q:炭素繊維シートによる補強で減厚量に制限はあるか。たとえば孔食がある場合でも使用可能か。
A:炭素繊維シートで設計したことはないが孔食がある場合は当て板補修で対応している。補強では3Dプリンターも使っている。そのような工法が確立し活用したいと思う。
Q:腐食したボルトと健全なボルトの判断はどのようにしているか
A:塗装が残っていれば健全として、塗装が残っていなければ腐食したボルトとして判断した。
Q:ウルトラパッチは便利で使いやすいが、どういうところに注意して使い分けをしたら良いか。
A:応力が作用しない鋼管などに活用している。どのような現場に向いているのかはケースバイケースと思う。
Q:写真ではボルトの減肉が結構生じているが、添接板はかろうじて塗膜が残っている。この際にボルトが減肉した原因はどのような原因が考えられるか。
A:ボルト部には水がかかっていたのでこれが原因と考える。添接板には水がかかっていなかった。
Q:腐食損傷は進めないことが大切だが、どのような工夫をしたか
A:原因となる水を止めることを考えた。橋面からの水の浸入を防止するために排水管の箇所の補修と別の水道(みずみち)を確保することを考えた。
Q:塩分を処理することが重要だが。
A:ウォータージェットやブラスト等で対応を考えた。
Q:連結板1枚あたりにボルトの余裕は少ないと思うがどのように考えたか。
A:耐力的に75%程度の余裕はあったのでそれを活用した。
Q:水平補剛材の腐食の照査について座屈防止なので腹の部分が腐食しているといないのでは意味が異なってくるがどのように考えているか。
A:既設の設計計算では水平補剛材の設置根拠がなかったのであらてめて分配して考えた。
Q:炭素繊維シートではどのように補修するのかポイントがあれば教えていただきたい。
A:炭素繊維シートの経験が少ないので的確な回答はできないが、補償するとすれば腐食した範囲等を考慮して判断することになる。経済性と施工性を含めて判断することが大切と思う。

令和5年度 現場見学会(令和5年11月7日(火))

北九州市道路局道路維持課様、松田建設工業株式会社様、日本橋梁株式会社様および当会個人会員福本英一郎様のご協力をいただきまして、若戸大橋補修工事(IH式塗膜剥離状況など)の現場見学会を行いたしました。また、午後にはわが国鉄鋼産業の近代化に大きく貢献した河内貯水池を訪れ、堤体や橋梁群(南河内橋=国内唯一のレンティキュラートラス等)を見学しました。長大構造物における防食技術の最前線と、偉大な土木技術者沼田尚徳の遺した歴史的建造物に触れる貴重な機会となりました。帰りのバス車中では見学内容に関連するクイズ大会も開催し、楽しくも充実した一日でした。
日時:令和5年11月7日(火) 8:00~17:30
場所:若戸大橋補修工事(戸畑区、若松区)、河内貯水池(八幡東区)
参加人員:36名
スケジュール:
07:45 受付開始
08:00 請川公園発
09:30 若戸大橋着(補修工事現場、アビュレッドブリジアム見学)
12:00 若戸大橋発
12:15 THE OUTLETS KITAKYUSHU着(昼食)
13:45 THE OUTLETS KITAKYUSHU発
14:00 河内貯水池着(堤体、南河内橋見学)
16:00 河内貯水池発(バス車内でクイズ大会)
17:30 請川公園着

令和5年度 総会および基調講演会(令和5年7月14日)

 令和5年度総会および基調講演会を7月14日(金)に開催しました。総会では令和4年度事業報告および決算・監査報告、令和5年度事業計画および予算について審議し可決されました。基調講演会では、山口県土木建築部長の片山克浩氏に山口県の土木建築行政について、また徳山工業高等専門学校土木建築工学科助教の山根達郎氏にインフラメンテナンスにおけるAIの活用と展望と題してご講演をいただきました。

(1)令和5年度総会
 日時 令和5年7月14日(金) 14時00分~14時20分
 会場 常盤工業会館:2階会議室(山口県宇部市東梶返1−10−8)
(2)基調講演(CPD認証番号JSCE23-0798)
 日時 令和5年7月14日(金) 14時30分~16時30分
 会場 常盤工業会館:2階会議室(山口県宇部市東梶返1−10−8)
 講師:片山克浩氏(山口県土木建築部 部長)
 講演題目:山口県の土木建築行政の推進について
 講師:山根達郎氏(徳山工業高等専門学校土木建築工学科 助教)
 講演題目:インフラメンテナンスにおけるAIの活用と展望

 参加人数:60名
(3)懇親会
 日時 令和5年7月14日(金) 18時00分~20時00分
 会場 居酒屋おんじょ
 参加費 4,000円

<基調講演会での主な質疑応答>
●講演1.山口県の土木建築行政の推進について(片山氏)
Q:この度の災害対応(6月30日~7月1日に山口県を襲った記録的な大雨災害)にあたり、山口県の施策におかれましても発注の平準化や災害対応優先とした通常業務の工期延伸など柔軟な対応をお願いします。
A:発注の平準化についてはゼロ県債等を活用した予算配分や適正な工期設定に取り組んでいるところです。また、非常時における通常業務の工期等に関する措置については県としてもすみやかに対応できるよう検討を進めています。
Q:ASP形式の情報共有システムは工事成績評定ではすでに加点対象となっていますが、業務委託においても加点対象となるでしょうか。
A:現時点では加点対象としておりません。まずはこのシステムの普及が大切と考えております。
Q:災害対応においても情報共有システムの活用を進めていかれますか。
A:災害への迅速な対応にはまず情報の共有が重要ですのでどのような仕組みで活用していくか検討しているところです。
●講演2.インフラメンテナンスにおけるAIの活用と展望(山根氏)
Q:AIを扱うにはどのようなスキルが必要でしょうか。
A:私のイメージでは個人が特別なスキルを持つというよりも自分の得意なものを持ち寄り協力しながら取り組むべきものと思っています。
Q:この先研究が進めば、構造物自らが劣化状況を教えてくれるようになることも考えられますがいかがですか。
A:センシングを組み込めば将来的には可能かもしれませんが、すぐには難しいとは思います。
Q:今後の研究の対象や方向性についてお聞かせいただけませんか。
A:これまでは求められる精度をAIを用いていかに満足するかということを主眼に研究を行ってきましたが、これからは人間とAI、それぞれが得意とする分野を認識・定義し、生かすことによって、より高度な意思決定支援システムや基準類の作成を行っていきたいと考えています。
Q:写真の言語化についてはどうでしょうか。
A:7割程度かなと思います。写真個々について精度を向上させるより、多くの写真を解析することによって運用面から精度の向上を図ることができると思います。
Q:AIの判断とは別に、人間(技術者)の判断を入れないといけない部分はどのような分野になりますか。
A:AIはスクリーニングなど予備的に使用し、その先の最終的な決断はやはり人間が行わなければならないと思います。
Q:AIを活用、普及させるためにはコスト面の問題もあると思いますが、たとえば中小企業クラスでもできるものでしょうか。
A:学習データの作成に多くの時間を要するためひとつの企業が行うことは難しいと思います。普及のためには学習データの公開と共有が重要です。
Q:おすすめのChatGPTがありますか。
A:有料版の方が優れています。無料版も頻繁にアップデートされているので、その差は縮まって来るかもしれません。
Q:劣化の現象・要因は時間的・空間的に入り組んだ複雑なものですが、それを読み解く糸口となるAI的な発想や着想があれば教えてください。
A:グラフニューラルネットワークなど近年注目される手法があるのでそのような新しい考え方、技術は取り入れていくことができると思います。
Q:シンギュラリティについてどうお考えですか。
A:何とも言えませんが、もしあるとしたならそれはそれで面白い世界が待っているような気がします。
※シンギュラリティ…技術的特異点。AIが人間の知能を超える転換点

令和4年度 技術交流会(令和5年1月27日)

 令和4年度技術交流会を「山口から考える、土木構造物の未来と防災2023」をテーマに開催しました。今回は、本会の目的である「技術者の相互研鑽と知識・技術の向上」という原点に立ち返り、いま我々は何に向かって何をすべきか、4人の若手講師にご登壇いただき、地域社会における土木鋼構造物のあり方や技術者として目指すべき方向、足元の課題について活発な質疑応答、議論を通して考えました。

<技術交流会>
日時:令和5年1月27日(金)14:00~17:00
場所:山口大学常盤工業会館(山口県宇部市東梶返1-10-8)
テーマ:山口から考える、土木構造物の未来と防災2023
講演1 宇部工業の歴史と防災技術
 宇部工業(株)鉄工事業部鉄建部営業課長 山下強志氏
講演2 GISを活用した防災教育への取組
 宇部興産コンサルタント(株)営業部企画室長 弘中淳一氏
      (一般社団法人やまぐちGISひろば理事)
講演3 労働者の安全を守りたい ~作業環境測定で地域に貢献~
 中国水工(株)環境部主任 佐内慎太郎氏
講演4 私が診た橋梁点検
 サンヨーコンサルタント(株)第一設計部技師 藤井理佳子氏
参加人数:35名

<意見交換会>
日時:令和5年1月27日(金)18:00~20:00
場所:宇部新川駅付近会場
参加人数:12名

<おもな質疑応答>
●講演1.宇部工業の歴史と防災技術
Q:水中の可動部分はシーリング等に工夫されたのでは。
A:紹介した動画は見学会の様子です。見学会なので水密性にはかなり気を使っています。実際は、津波から避難する時間を稼ぐ事ができれば良いので、多少の水漏れは許容されると思っています。
Q:点検時の動作確認はどのように行うのですか。
A:強制的に起立させる装置を設けることができますが高額となります。点検は容易に行えるので、そのような装置を設けない選択もあると思います。
Q:仮設や運搬はどのようになりますか。
A:規模的に地元の鉄工所で製作し現場で組み立てる事になると思います。陸上輸送となりますのでトラックに積める大きさで製作します。組み立てにはその大きさに見合うクレーンを使用します。
Q:苦労された点とその対応を教えてください。
A:普段は扉が下がった状態なので扉の上を車両が通行します。その時にガタ付きがあると、部品にズレや削れが生じることがあります。そのため、扉が当たる床版にはミリ単位の打設精度が求められ、非常に困難です。現在は扉との接触面に硬化する粘土を敷き詰めて隙間をなくすなど工夫を積み重ねながら対応していますが、まだまだ改善の余地があると思っています。
●講演2.GISを活用した防災教育への取組
Q:学校での防災教育の他に自治会への働きかけはありますか。
A:今回の事業は様々な人が参加しています。学校と地域の両面に活動を広げたいと思っています。そのためには、操作をなるべく簡単にして広い世代に使っていただきたいし、細やかなサポートが大切と考えています。
Q:防災教育における工夫点を教えていただきたい。
A:まずは興味を持ってもらうことだと思います。子供たちの身近なところ、学校や自宅の近辺を題材にすると非常に食いつきが良かったです。また、操作を簡単にしたり、漢字にフリガナをふるなど、子供に寄り添う工夫が必要と感じています。
Q:個人でGISを利用してみたいのですが、GISソフトはどうすればよいですか。
A:無償で使用できるソフトがあります。例えばQJISがあります。
データについても、官庁や自治体からデータが公開されています。「山口県オープンデータカタログサイト」というサイトがあり、そこでは県及び県内自治体のデータが公開されており自由に入手することができます。
●講演3.労働者の安全を守りたい~作業環境測定で地域に貢献~
Q:塗膜調査における採取作業の注意点があれば教えていただきたい。
A:鉛が含有されているケースがあるので、剥離方法は湿式が良いと思います。
●講演4.私が診た橋梁点検
Q:今後の目標を教えてください。
A:将来のことになると思いますが、橋梁の新設に携わりたいです。
Q:点検作業中に意外に思ったことがあれば教えてください。
A:初めの頃のことですが、鋼橋の側面の孔をハンマーで叩いた時に水が飛び出してきたことが印象に残っています。
Q:点検作業で苦労されたことを教えて下さい。
A:土砂の堆積が多いところがあり、土砂を撤去しながら1日に4橋ほど点検して回るのは大変でした。また、コンクリート表面の浮きは叩き落としますが、どこまでやればいいのか悩みました。

 

令和4年度現場見学会(令和4年12月8日)

 山口県柳井土木建築事務所様、三井住友建設株式会社様の全面的なご協力のもと、上関大橋補強工事の現場見学会を実施しました。まず、上関町総合文化センターにて柳井土木建築事務所工務第1課の近藤主任様より「上関大橋本復旧工事」と題し、上関大橋の概要、 損傷の状況、復旧検討会議(R3.10)、 応急工事(R2.11.14~R3.3.25)、本復旧工事の内容についてご説明をいただき、そのあと3班に分かれて桁内部、A2橋台周り、P2橋脚を見学しました。
 天候にも恵まれ、維持管理最前線の注目の現場を肌身で感じることができた非常に有意義な見学会でした。

日時:令和4年12月8日(木)13:30~16:00
場所:上関大橋補強工事
場所:上関町総合文化センター(上関町大字室津847)~上関大橋現地
案内者:山口県柳井土木建築事務所様、三井住友建設株式会社様
参加人数:31名
スケジュール:
12:30~13:30 受付
13:30~14:00 工事概要の説明(工務第1課第2班主任 近藤圭晃様)
14:15~15:45 現地見学

令和4年度総会・基調講演会(令和4年7月15日)

令和4年度総会および基調講演会を開催しました。 

<令和4年度総会>
日時 令和4年7月15日(金):14時00分~14時15分
会場 常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)
議案審議
 1号議案 平成3年度事業報告および決算報告・監査報告の件
 2号議案 令和4年度事業計画および予算の件
 3号議案 会則および規則の改廃
 全会一致で承認されました。
 
<基調講演会>
日時 令和4年7月15日(金) 14時30分~16時30分
会場 常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)

講演1  山口県の建設DXの取り組みについて

 山口県土木建築部 技術管理課 河原和俊氏

講演2 日本橋梁建設協会のDXの取り組み ~いまなぜDXか~

 (一社)日本橋梁建設協会 DX推進特別小委員会
 株式会社巴コーポレーション 中嶋浩之氏
建設業の生産性向上対策の切り札として注目される建設DXについて、発注者と施工者の立場から貴重なご講演をいただきました。なお、基調講演は土木学会継続教育(CPD)プログラムとして認定されています

 

<懇親会>
実施しませんでした

<基調講演会における主な質疑内容>
講演1について(河原氏)
Q:山口
県がDXを推進するにおいて設計あるいは施工業者に期待すること、または希望することは何でしょうか
A:DXと言うとICTやBIM/CIMなどが目につくところですが、情報共有システムや遠隔臨場など身近なところから積極的にDXに取り組んでいただくことが重要だと思います
Q:情報共有システムや遠隔臨場は、どの程度取り入れられていますか
A:対象業務や工事は年間1,800件くらいですが、そのうち実施しているものは1割程度です。これからさらに推進していかなければならないと思っています
Q:山口県としてCIMの全面実施に向けたお考えがあれば教えていただきたい
A:国の施策や考え方は参考にしながらも山口県らしさを十分に意識し、今年度の成果を来年度につなげる継続的な取り組み、すなわち実施と検証を繰り返しPDCAのサイクルを回しながら確実に進めていきたいと考えています
Q:DXに対する関心が低い人、苦手な人に対しては、どのように展開していくのでしょうか
A:建設DX推進会議のもと、いろいろなプロジェクトチームやWG、DG(Discussion Group)を設置しており、土木建築事務所を含めた全職員に対してきめこまかく対応し、身近なところからDXを広げていきます
Q:テレワークの推進状況はいかがですか
A:まだ不慣れな部分もありますが、現状の課題や問題点を把握しながらハードの整備を進めており、定着に向けて努力しているところです
■講演2について(中嶋氏)
Q:遠隔臨場を活用するにあたって問題となる点はありますか
A:山岳地など通信環境が悪い現場ではシステムがうまく作動しにくくなることがあります。また、屋外の日差しでディスプレイが見えにくかったり熱により器機がフリーズしたりするケースもあり、普及にともなっていくつかの問題も顕在化してきましたので、解決に向けて対応を検討しているところです
Q:橋梁の現場におけるコンカレントエンジニアリング、フロントローディングとはどのようなイメージでしょうか
A:設計や現地工事着手前の計画段階で施工の最適化を図ることにより、施工段階での手戻りを防き、工程、品質、安全管理など様々な場面で円滑な現場運営に資することができると考えてます。土木の現場ではよく「段取り八分」と申しますが、その段取の部分にこそDXがもっとも力を発揮できるのではないかと考えています

令和元年度 技術交流会(令和2年1月31日)

「二巡目の橋梁点検、どう変わる?どう変える?」をテーマに令和元年度技術交流会を開催しました。
昨年度までに近接目視が義務化された一巡目の点検を終えました。これから実施する二順目点検では今まで以上に過去の点検との対比の重要性を意識したうえで、点検・診断を行う必要が生じます。また、「道路橋定期点検要領」が平成31年2月に改訂され、近接目視に変わる代替技術の適用が可能となりました。
これから実施する二巡目点検では、一巡目以上に、限られた予算でより効率的・効果的・合理的に点検を実施していくことが求められています。今後の橋梁点検は「どのように変わるのか?」という疑問や「どのように変えていかねばならないのか?」という課題に対して、官学の異なった立場の講師をお招きし、“点検要領改訂の内容や背景”、“各管理者の対応方針”および“他県での取り組み姿勢”などを伺いながら討論することによって、さまざまな疑問の解消や課題解決のヒントについて考えました。

<第1部 技術交流会>
日 時:令和2年1月31日(金) 14時~17時30分
場 所:常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)
テーマ:二巡目の橋梁点検、どう変わる?どう変える?

講演1 点検支援技術の活用について(14:05~14:35)
  国土交通省中国地方整備局道路部 道路構造保全官 錦織直紀 氏
  国土交通省中国地方整備局企画部施工企画課 施工係長 小山隆二 氏
講演2 山口県の橋梁点検への取り組みについて(14:40~15:10)
  山口県土木建築部道路整備課 主査 福田将之 氏
講演3 技術的助言を踏まえた岐阜県での取り組み(15:15~16:05)
  岐阜大学 情報連携統括本部 副本部長 教授 村上茂之 氏
パネルディスカッション(16時10分~17時30分)
コーディネーター:山口大学大学院 麻生稔彦 氏
パネラー:国土交通省中国地方整備局 錦織直紀 氏
     山口県土木建築部道路整備課 福田将之 氏
     岐阜大学 村上茂之 氏
     サンヨーコンサルタント(株) 林一成 氏
     宇部興産機械(株) 和多田康男 氏
  
<第2部 意見交換会>
日 時:令和元年1月31日(金) 18時00分~19時30分
場 所:常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)
内 容:参加者によるフリーディスカッション

<パネルディスカッションでの質疑>
Q:麻生氏(コーディネーター)
国の点検要領が改定され1年となりますが、新技術の利用状況はいかがでしょうか。
A:錦織氏(中国地整)
受注者の方にできるだけ新技術を活用していただくようお願いしています。橋梁では10数橋、トンネルでは20数トンネルですでに実績があり、ドローン等による画像撮影が多いです。水中ドローンによる洗堀調査の例もあります。
Q:麻生氏(コーディネーター)
山口県として新技術導入のための課題は何でしょうか。
A:福田氏(山口県)
まずは、何をもって近接目視と同等と判断するのか。次に、仮に高額であっても使用するのか。が考えられます。まだまだ研究するべき事項が多いと思っています。
Q:麻生氏(コーディネーター)
「新技術」とそれを使う側の「ヒト」との兼ね合いをどうお考えでしょうか。
A:村上氏(岐阜大学)
健全度の判断には「経験」が必要であるため、現時点の新技術では対応が難しいと思います。但し、健全度1であれば新技術での置き換えは可能と考えます。岐阜県の橋梁の場合、健全度1は6割を占めます。そこにロボット等による簡略化、効率化が入れば、技術者のヒト手不足解消へも通じるのはないかと考えます。
Q:安田氏(中国施設設計)
措置のひとつである「監視」について考えをお聞かせください。
A:錦織氏(中国地整)
損傷レベルにより監視の程度(精度)は変わってくると思います。損傷レベル2であれば予防保全的な監視であろうし、レベル4であれば補修なりを行うまでの監視なので、常時モニターなど精度の高いものが求められと思います。また、どの程度動いたらどう対応するかなどの基準も決めておく必要があると思います。
Q:安田氏(中国施設設計)
「監視」においてAIが活躍する場面があるでしょうか。
A:村上氏(岐阜大学)
措置を判断する上での基準値や閾値を考える場で活用できるかもしれません。
Q:村上氏(東谷)
点検結果の最終判断はどのようにされているのでしょうか。
A:福田氏(山口県)
診断協議において、全体的な視点からの損傷の程度や進展性などを話し合いながら最終的な健全度の判断をしています。
Q:林氏(サンヨーコンサルタント)
小規模橋梁において着目箇所の特定等による作業量の低減が実際に図れれているのでしょうか。
A:錦織氏(中国地整)
点検要領の改定内容に応じて実施しており、省力化につながっていると考えています。
Q:林氏(サンヨーコンサルタント)
新技術を採用した場合の積算についてのお考えをお聞かせください。
A:福田氏(山口県)
課題でもありましたように他県の状況を見ながら考えて行きたいと思います。
Q:林氏(サンヨーコンサルタント)
山口県に比べ岐阜県は健全度1の割合が高いように思いますが、見解の統一はなされているのでしょうか。
A:村上氏(岐阜大学)
MEを活用して見解の統一は図っております。健全度1の割合が高いのは、以前の5段階の分類から4段階に変更した際に、健全度1に分類されたものが多かったからではないでしょうか。
Q:和多田氏(宇部興産機械)
3巡目となる5年後はどうあるべきでしょうか。
A:村上氏(岐阜大学)
診断のバラツキをなくさなくてなりません。この辺りがグラついているとAIがいくら進歩してもいいものにはならないと思います。今後5年間は官民が連携して取り組む必要があると思います。
Q:瀬良氏(エイト日本技術開発)
岐阜県におけるネガティブチェック項目の見直しはあるのでしょうか。
A:村上氏(岐阜大学)
新技術の動向を注視しながら見直しを随時行っていきます。

令和元年度 現場見学会(令和元年11月7日、8日)

令和元年度現場見学会を開催しました。本会法人会員でもあります(有)アイエムジー様との共同企画により、愛媛県今治市にて「橋梁メンテナンス講演会」に参加し、翌日はしまなみ海道橋梁群(主として来島海峡大橋)を訪ね、当時建設に携わった木元氏、福本氏から工事の苦労話や技術的なポイントなどについて説明をいただきました。
また、本州四国連絡高速道路(株)しまなみ今治管理センター(竹内政彦所長)を訪問し、建設時における先輩技術者の維持管理に対する配慮や思い入れ、世界的に有名になったサイクリングロードを通じたインフラと文化の融合、観光産業との関係など、興味深いお話を伺うことができました。
 
日時:令和元年11月7日(木)、8日(金)
場所:7日 今治地域地場産業振興センター、今治国際ホテル(愛媛県今治市)
   8日 しまなみ海橋梁群(愛媛県今治市~広島県尾道市)
<1日目>
橋梁メンテナンス講演会 14:00~16:40
(今治地域地場産業振興センター 2F大会議室)
講演1:技術的助言を踏まえた岐阜県の取り組み
 岐阜大学 情報連携統括本部 副本部長兼CIO補佐 教授 村上茂之氏
講演2:耐候性橋梁の維持管理のポイント
 山口大学大学院 創成科学研究科 教授 麻生稔彦氏
懇親会 17:30~19:00
(今治国際ホテル 22F)
<2日目>
しまなみ海道橋梁群現地見学会 9:30~12:00
案内:(有)アイエムジー 木元様、菊川様
   (株)三建調査設計 福本様(元本州四国連絡橋公団)

令和元年度総会・基調講演会(令和元年6月21日)

令和元年度総会および基調講演会を開催しました。 

<令和元年度総会>
日時 令和元年6月21日(金):14時00分~14時20分
会場 常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)
議案審議
 1号議案 平成30年度事業報告および決算報告・監査報告の件
 2号議案 令和元年度事業計画および予算の件
 全会一致で承認されました。
 
<基調講演会>
日時 令和元年6月21日(金) 14時30分~16時30分
会場 常盤工業会館 2階会議室(山口県宇部市東梶返1-10-8)

講演1  腐食した鋼構造物のメンテナンスを考える

 広島大学大学院 工学研究科 特任教授 藤井堅氏

講演2 地方都市における交通政策の動向

 山口大学大学院 創成科学研究科 教授 榊原弘之氏

 
<懇親会>
日時 令和元年6月21日(金) 17時00分~19時00分
会場 山口大学 生活協同組合 工学部食堂(山口県宇部市常盤台2-16-1)

<基調講演会における主な質疑内容>
講演1について(藤井教授)
Q:王泊大橋のハンガーロッドが定期的に破断する原因はなにでしょうか。(海田先生)
A:ハンガーロッドの首振り部が5年毎にタワー側から順番に破断することがわかってきました。破断の予想が付くなら維持管理は決して難しいものではないと思います。それを大掛かりにロッドの見直しを行うなど始めると、維持管理は難しいものとなります。

Q:フェリー桟橋が余裕のない設計となっている理由はなにでしょうか。(池末氏)
A:フェリー桟橋の特徴は吊ってあることです。できるだけ軽く無駄を省く必要があります。そのため主桁はぎりぎりの設計となっています。実際は鋼床版ついて合成桁として機能していますし、高欄の剛性なども期待できるため応力的にはプラスアルファの余裕はあります。
■講演2について(榊原教授)
Q:自転車の移動比率の地域差は、地形や気候に加えて道路整備のあり方も関係していると思うのですがいかがでしょうか。(池末氏)
A:定量的な判断材料は持ち合わせていませんが、必ずあると思います。しかし、自転車レーンの整備は予算が付きにくいですし、市民からの要望も可視化されず整備が進まないのが現状ではないでしょうか。自転車は移動手段の第2勢力であることから、もっと注意が払われた方が良いと思います。
Q:住居の選択は個人の自由意志と思われるのですが、立地適正化計画における具体的な施策を教えていただきたい。(和多田氏)
A:住居の選択については、今までも都市計画等における規制はあり自由に決められるものでもないと思います。また如何に居住地域に誘導するかについては、コンパクトシティ先進地の事例をとりましても財政的な問題が伴うと思われます。いづれにしても立地適正化計画は新しい施策の根拠となるもので、今後の制度にも影響がでてくるものと思われます。

平成30年度 技術交流会(平成31年1月25日)

このイベントは、毎回ひとつのテーマついてご専門の講師の方々から話題を提供いただき、自由な議論を通して会員相互の技術研鑽をめざすものです。今回は「橋梁点検の現状と課題、将来展望について」と題して各方面の方にご講演いただいたあと、麻生会長、住居顧問、さらには貴重な情報を提供いただきました(株)辰起非破壊検査工業の三刀屋智則氏も加わってパネルディスカッションを行い、会場の皆さんとともに活発な討論を行いました。

日時 平成31年1月25日(金)14時~19時
場所 常盤工業会館 2階会議室
 
第1部 技術交流会(14時~17時30分)
 テーマ:橋梁点検の現状と課題、将来展望について

<講演会>
講師 福田将之氏(山口県土木建築部道路整備課)
 山口県における橋梁老朽化対策への取り組みと課題
講師 福原祐輝氏((株)宇部建設コンサルタント)
 橋梁点検について~鋼橋を中心に点検・診断事例紹介~
講師 後藤悟史氏(宇部興産機械(株))
 鋼橋の維持管理の概要

<パネルディスカッション>
コーディネーター
 麻生 稔彦氏(山口大学大学院)
パネラー
 福田将之氏(山口県土木建築部道路整備課)
 福原祐輝氏((株)宇部建設コンサルタント)
 後藤悟史氏(宇部興産機械(株))
 三刀屋智則氏((株)辰起非破壊検査工業)
 住居 孝紀氏(トキワシビルテクノ技術士事務所)
参加者:59名
 
第2部 意見交換会(17時30分~19時)
 参加者によるフリーディスカッション
参加者:29名
 
技術交流会パネルディスカッションでの質疑内容の一部を紹介します。
Q:点検作業に取り掛かる前に知っておいた方がよい事を教えてください。
A(徳原氏):いろいろありますが年代により違いがあるものは事前に調べておくのが良いです。例えば、基準の改訂に伴い変わってきたコンクリート強度や床版の最低厚、鉄筋の丸鋼が使われていた時代などが考えられます。
Q:職員点検は3名で行うとされた理由をお聞かせください。
A(福田氏):点検1名、記録1名、補助1名の3名としています。また、点検作業に関するOJTを行う面からも妥当と思います。
Q:山口県内の鋼橋には疲労亀裂が生じているケースは少ないのでしょうか。
A(麻生氏):ソールプレートの亀裂を見たことがありますが、県全体としては交通量から考えて発生ケースは少ないと思います。
Q:疲労亀裂に注意する上での着目点などがあれば教えていただきたい。
A(後藤氏):ソールプレートや昔の鋼床版は12mmと薄いものが多いので注意しないといけません。
A(麻生氏):ソールプレートやUリブ、ガセットプレートなどの辺りはしっかりと見たほうがよいでしょう。
Q:技術者の育成についてどのように取り組まれているか、行政とコンサルタントのお立場でお聞きしたい。
A(福田氏):行政としましては、現場に出向くOJTを中心に行っています。
A(徳田氏):私どもコンサルタントとしてもOJTが基本となっています。講習会等での勉強をとおして身に着けてもらうとか、現場での疑問を社内で議論することで技術向上を図っています。
Q:県の橋梁長寿命化計画資料の中で、山陰側は塩害が多い地域と示されています。瀬戸内地域も海に面しておりますが塩害が多い地域とは示されていません。その理由をお教えください。
A(福田氏):瀬戸内地域でも塩害はあるのですが、山陰側は冬季風浪による塩の供給が多く特に塩害の多い地域として示しています。
Q:発見しにくい腐食例として、塗膜内の腐食についてもう少し教えてほしい。
A(後藤氏):補修塗装により表面上はしっかりしているが、腐食因子が残っていたのであろう塗膜下で腐食が進行し、塗膜がごっそり剥がれた事例です。
Q:発見しにくい腐食、損傷について、点検時に気を付ける点をお教えください。
A(麻生氏):塗膜の下に水みちができている事例がありました。発見する方法としては、サビ汁に注意すること、雨の日に見てみることが有効と思います。
Q:排水処理の悪い事例、良い事例をお聞かせ下さい。
A(徳原氏):悪い事例は、樋が腐食している歩道橋や路面排水により耐候性鋼材の桁が斑になっている橋、また排水桝の詰まりが見られました。良い事例は、排水が側溝まできっちりと導かれている場合場合でした。

平成30年度 現場見学会(平成30年11月28日)

本年7月に発生した西日本豪雨災害によって広島市の北部、三篠川沿線の橋梁群の多くが流失または橋脚の沈下などにより通行不能となっています。今回は、JR西日本様、広成建設(株)様のご理解とご協力により、それら被災橋梁の現状を視察し、インフラ防災について考えました。
 

日時 平成30年11月28日(水) 10時30分~15時30分
場所 広島県広島市安佐北区
見学内容 三篠川沿線の被災橋梁
対象橋梁
三篠川第一橋梁(6径間鋼単純鈑桁橋)
柳瀬橋(鋼人道吊橋)
安駄橋(鋼単純鈑桁、RC桁橋)他


実施要領

(1)移動(サンデン観光バス)

 07:30宇部市請川公園→08:00新山口駅→10:30現地

 15:30現地→18:00新山口駅→18:30宇部市請川公園

(2)服装

 汚れてもいい服、ヘルメット、長靴、天候次応じて雨具、防寒着

(3)参加人員

 29名

(4)参加費

 無料(会員が対象です)

平成30年度総会・基調講演会(平成30年6月29日)

平成30年度総会を開催しました。土木鋼構造研究会は本年度で4年目を迎えました。平成29年度の活動報告、平成30年度の計画等について審議いただいたあと、各界より講師をお招きし、ホットなテーマについて基調講演会を開催しました。また、本年度から山口大学と徳山高専に在学する学生会員と、山口県や宇部市をはじめとする地元自治体のみなさんも聴講いただけるようになりました。次代を担う若手技術者の育成や、発注者・受注者それぞれの立場から地域の土木鋼構造物、インフラについて考える場として活動を継続・発展させていきたいと考えています。

日時 平成30年6月29日(金) 14時~19時
場所 山口大学常盤工業会館
日程
総会
14時00分~14時30分
基調講演
14時30分~16時30分
講師
井口 進氏(横河ブリッジホールディングス 総合研究所)
 
講演題目
鋼橋の防食~構造面からの取り組み~
 
講師
有井賢次氏(長大 広島支社)
 
講演題目
道路橋示方書改訂の概要
 
参加人数
61名
 
意見交換会
17時~19時
参加人数
25名
主な質疑応答
講演1(井口講師)
Q:延長床版について良い事例または不具合の事例がありましたら教えていただきたい。
A:従来構造と比べて支承部に関しては非常に健全な状態が保持されていると聞いています。ただし伸縮装置からの侵入水をきっちり処理する必要性は変わりません。
Q:桁カバーを設置した場合の点検はどのようになるのでしょうか。
A:桁カバー(遮塩板)は点検に使用されることを前提に設計されています。点検作業員や資機材の荷重が考慮されています。
Q:腐食因子を排除するための構造細部として下フランジに勾配をつける対策は良くないのでしょうか。
A:「への字」にした場合、フランジ下面の腐食が懸念されます。腐食環境にもよりますが、飛来塩分に対して弱点となる可能性があり、また製作面でも手間がかかりますので現在はほとんど採用されていません。
講演2(有井氏)
Q:活断層には存在が断定されたものから可能性の域をでないものまであります。どの程度の活断層に構造的な考慮がなされるべきとお考えでしょうか。
A:これまでの事例では文献や調査により活断層と判明しているものに対して対策を行っていますが、この部分の研究も日進月歩ですので常に最新の情報に基づいて判断することが重要です。
Q:既設橋の耐力強化を図るような場合の設計の考え方について、情報があればお教えください。
A:補強設計や補修設計に関しては明確になっていないのが実情です。

平成29年度 技術交流会(平成30年2月27日)

このイベントは、毎回ひとつのテーマついてご専門の講師の方々から話題を提供いただき、自由な議論を通して会員相互の技術研鑽をめざすものです。今回は「地域インフラの維持管理」をテーマに、長崎大学の中村先生、宇部市の村上課長、宇部セントラルコンサルタントの池末社長より産官学それぞれの立場から社会資本の維持管理についてご講演いただいたあと、麻生会長と海田副会長、住居顧問も加わってパネルディスカッションを行い、会場の皆さんとともに活発な討論を行いました。
日時 平成30年2月27日(火)14時~19時
場所 常盤工業会館 2階会議室
日程
第1部 技術交流会
14時~17時30分
テーマ
地域インフラの維持管理
 
講師
中村 聖三氏
長崎大学大学院工学研究科システム科学部門 教授
講演題目
長崎における橋梁維持管理への取り組み
 
講師
村上 守氏
宇部市都市整備部道路河川管理課 課長
講演題目
宇部市における道路施設の老朽化対策について
 
講師
池末 二朗氏
株式会社宇部セントラルコンサルタント 代表取締役
講演題目
構造物の変状に関する話題提供~アルカリシリカ反応(ASR)を中心に~
 
パネルディスカッション
 

コーディネーター
麻生 稔彦氏
山口大学大学院
 
パネラー
中村 聖三氏
長崎大学大学院

村上 守氏
宇部市都市整備部

池末 二朗氏
宇部セントラルコンサルタント

海田 辰将氏
徳山工業高等専門学校

住居 孝紀氏
トキワシビルテクノ技術士事務所
 
参加者
37名
 
第2部 意見交換会
17時30分~19時
内容
参加者によるフリーディスカッション
 
参加者
23名
技術交流会での質疑内容

Q:長崎県では、行政、大学ともに早くからメンテナンスの仕組みに取り組まれていますが、その背景には何があるのですか?
A:中村氏(長崎大学)
長崎県は地理的要因から規模の大きい橋梁がたくさんあります。その建設当時のスピリッツが受け継がれていて橋梁構造物に思い入れのある方が多かったからと思います。

Q:PC中空床版橋の事例紹介においてASRが疑われる一方、DEFの可能性がでてきたとありましたが、補修方法はどのような提案をされたのでしょうか?
A:池末氏(宇部セントラルコンサルタント)
事業の都合で原因究明まで至らなかったため、残念ながら補修設計への展開はできませんでした。

Q:ASRと比較してDEFの進行性や症状に違いがあるのでしょうか?
A:池末氏(宇部セントラルコンサルタント)
DEFについても進行性はありますが、進行期間などASRと比べてどうなのかは分かっていません。エトリンカイトも時間をかけて生成されるもので、それによりコンクリートが膨張してひび割れが生じると理解しています。

Q:住居顧問に本日の感想あるいはコメントをいただけますでしょうか
A:住居氏(トキワシビルテクノ技術士事務所)
維持管理に関し技術継承と言う面では、技術者として過去に携わってきたデータを残しておくという仕事も、先輩としては大切なことではないかと感じています。

Q:海田先生にお聞きします。周南市で取り組まれておられます活動の状況と課題あればお聞かせください。
A:海田氏(徳山工業高等専門学校)
周南市で「しゅうニャン橋守隊」の活動を行っております。産官学の連携に加え「民」である地域住民の皆さんを巻き込んでの活動です。簡単な点検や補修体験を通じて道路資産、橋梁資産の大切さに対する意識を高めていこうというものです。道路や橋の維持管理に対する地域住民の合意が得やすい形での広報PRも必要ではないかと思っています。
また、市職員の異動に関する悩みと同じように、橋守隊のメンバーの入れ替わりをどう上手く回して行くのかが課題となっています。

Q:長崎県における橋梁個別の管理マニュアルについて、充実しているからこその盲目的な使われ方、技術者の判断や思考を妨げるといった危惧についてどのようにお考えでしょうか?
A:中村氏(長崎大学)
確かにルーティン化により異常を見逃すリスクはありますが、点検する方には橋全体を見るようにお伝えしています。また、出てきた結果につきましては、県の維持管理委員会のメンバー全員で判断していますので問題はないと思っています。

Q:点検マニュアルや基準書は、要点を押さえる意味で市町にとって有用なものではないでしょうか?
A:村上氏(宇部市)
現在は国や県の基準に準じて管理を行っていますが、市町に多い小規模な橋を対象にした管理マニュアルや基準書があってもよいのではないかと思っています。今後はマニュアルや基準書の整備も進めていきたいと考えています。

Q:ASRの事例紹介におきまして、試験項目や数量は新たに提案されたものでしょうか?
A:池末氏(宇部セントラルコンサルタント)
そうです。当初仕様を現地特性と照らし合わせ、あらためて提案を行いました。

Q:維持管理に関する市町の問題として、カネ・ヒト・技術の不足が言われますが、宇部市特有の課題がありましょうか?
A:村上氏(宇部市)
特有かどうかわかりませんが、やはり橋梁のデーターが十分に残っていないところが問題です。

Q:施設の管理者として、期待残存余命についてお考えがありますか?
A:村上氏(宇部市)
人口減少を背景とすればすべての橋梁を維持していくことは困難であり、取捨選択を明確にしていかなければならないと思っています。その際は、地域住民への説明責任と合意形成が課題となると考えています。

平成29年度 現場見学会(平成29年11月16日)

県道岩国大竹線御庄川橋(仮称)橋りょう整備工事(鋼2径間連続非合成鈑桁)と平瀬ダム建設工事(重力式コンクリートダム)の現場見学会が開催されました。
いずれの現場も発注者である山口県様、施工JV様の全面的なご協力により、事業の概要や工事の内容、技術的な特徴などについて説明をうかがい、有意義な見学会となりました。

日時 平成29年11月16日(木) 10時~16時
場所 御庄川橋、平瀬ダム工事現場(山口県岩国市)
見学内容 鋼橋、ダムの建設工事
日程
第1部 御庄川橋(仮称)橋りょう整備工事
10時00分~12時00分
 
説明
山口県岩国土木建築事務所様
宇部興産機械株式会社様
 
見学内容
鋼2径間連続非合成鈑桁橋の架設状況について
 
第2部 平瀬ダム
14時00分~16時00分
 
説明
山口県錦川総合開発事務所様
清水建設・五洋建設・井森工業・ナルキJV様
豊国工業・新光産業JV様
 
見学内容
重力式コンクリートダムの建設状況について(骨材ビン、コンクリート試験室、バッチャープラント、利水放流バルブ、選択取水設備、コンジット設備、オリフィス設備)
 
参加者
32名
 


工事概要

(1)御庄川橋(仮称)
鋼2径間連続非合成鈑桁(橋長84m、全幅11m)、鋼2径間連続非合成箱桁(橋長136m、全幅11~12.9m)。山陽道岩国IC、山陽新幹線新岩国駅、岩国錦帯橋空港へのアクセス改善、市街地における渋滞緩和を目的に整備されています。
(2)平瀬ダム
堤高73m、堤頂長300m、堤体積34万立方m、総貯水容量2950万立方m。錦川の治水対策、既得用水の取水安定化、河川維持流量の確保、放流水を利用した発電等を目的に建設されています。

平成29年度総会(平成29年6月30日)

平成29年度総会が開催されました。平成28年度活動報告と平成29年度活動計画が審議・承認されたあと、国土交通省山口河川国道事務所の樋野義周副所長と徳山工業高等専門学校の小山諒子氏をお招きして基調講演会が開催され、活発な討議が行われました。
日時 平成29年6月30日(金)14時~19時
場所 山口大学常盤工業会館
日程
総会
14時00分~14時20分
基調講演
14時30分~16時30分
講師
樋野 義周 氏
国土交通省 山口河川国道事務所 副所長
講演題目
道路保全を取り巻く動き
 
講師
小山 諒子 氏
徳山工業高等専門学校 環境建設工学専攻
講演題目
しゅうニャン橋守隊による猫の手メンテナンス活動(第1回インフラメンテナンス大賞「国土交通大臣賞」)
 
参加者
62名
 
懇親会
17時~19時
参加者
25名
 

基調講演での質疑内容

(1)道路保全に関する取り組み(講師:樋野義周氏)
Q:われわれは、今ある橋に対して様々な苦労をしながらメンテナンス活動を行っておりますが、この先建設される橋への配慮については、どのように取り組めばよいとお考えですか?
A:国交省としては、保全で得られて知見を「新設橋梁の設計・施工の留意点」として取りまとめています。これらの内容は「土木工事設計マニュアル」の中に反映して公表しております。通気性の確保やメンテナンススペースなどディテールの工夫に役立てていただきたいと思います。
Q:新技術や発展途上の技術の現場への適用について、どうお考えですか。
A:NETIS(新技術情報提供システム)の評価が参考にできると思います。新技術導入のためには是非とも登録していただきたい。
(2)しゅうニャン橋守隊による猫の手メンテナンス活動(講師:小山諒子氏)
Q:この活動のコンセプト、精神は素晴らしいと思います。私は前回参加しました。次回も是非参加いたします。今後も長く活動していただきたいと思います。
A:ありがとうございます。
Q:報告を拝見しますと「橋と人間のドラマ」のように思えてきます。その中でもオジサンの存在が目につくのですが、オジサンへの要望があればお聞きしたい。
A:特にオジサンへの要望はありませんが、長時間の屋外活動ですし幅広い年代の人がいらっしゃいますので他のメンバーに対する一人ひとりの気配りが大事になってくると思います。
Q:周南市として助成などの仕組みはありますか?
A:ゴミ袋など補助できる資器材は提供できます。
Q:この活動を受けて、市が行う対応の判断基準は?
A:市民の皆さんに興味を持っていただけるよう、いち早く行政が対応できるもの(職員ができること)については、迅速に対応するようにしています。
Q:今後、他地域への展開については?
A:まずは身近な多く方々の共感を得たのち、徐々に広がっていければと思っています。

平成28年度 技術交流会(平成29年2月24日)

技術交流会が開催されました。昨年度に引き続き会員相互による話題提供により技術の研鑽をめざします。今回は「土木鋼構造物の設計と現実」をテーマに現場施工の実態や実構造物の挙動と机上の計画の違い、その結果生じる問題点から設計・計画段階で考えておくべきことなどについて個性豊な3名の会員に話題を提供いただいたあと、麻生会長と海田副会長も加わってパネルディスカッションを行い、会場の皆さんと熱心な討論が繰りひろげられました。
日時 平成29年2月24日(金)14時~19時
場所 常盤工業会館 2階会議室
日程
第1部 技術交流会
14時~17時
テーマ
土木鋼構造物の設計と現実
 
講師
津田 秀典氏
常盤地下工業株式会社
講演題目
地すべり鋼管杭の変位に関わる予測と現実の乖離
 
講師
桑名 弘暁氏
宇部興産機械株式会社
講演題目
橋梁工事における失敗事例
 
講師
有井 賢次氏
株式会社長大
講演題目
長大橋・特殊橋における点検・補修設計と施工
 
パネルディスカッション
地域社会における身近な鋼構造物の設計・計画と現場・現物・現実

コーディネーター
麻生 稔彦氏
山口大学大学院
 
パネラー
海田 辰将氏
徳山工業高等専門学校

津田 秀典氏
常盤地下工業株式会社

桑名 弘暁氏
宇部興産機械株式会社

有井 賢次氏
株式会社長大
 
参加者
46名
 
第2部 意見交換会
17時30分~19時
内容
参加者によるフリーディスカッション
 
参加者
32名
技術交流会での質疑内容

まず、麻生会長から内閣府によるSIP(戦略的イノベーション創造プログラム、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクト)ついて紹介されたあと、それぞれの話題について聴講者も参加したディスカッションが行われました。
1.地すべり鋼管杭の変位に関わる予測と実測の乖離(津田講師)

Q:くさび杭と抑え杭の打つ位置のポイントは?
A:抵抗力を末端から積み上げていくと、抑止力より抵抗力が大となるところが表れる。そのような範囲の杭はくさび杭として機能し、それ以外の抵抗力の無い箇所は抑え杭として設計する

Q:くさび杭を打った結果、すべり面が変わったのはなぜ?
A:ひとつの解釈として、当初は「すべり面」で動いていたのが、杭を打つことで「すべりゾーン(帯)」として動くようになったと思われる

Q:設計当初のくさび杭と異なり抑え杭のような挙動をしていたということだが、応力的には問題はないか?
A:鋼管杭の耐力としては余裕があり応力的には問題ないと考えている

2.橋梁工事における失敗事例(桑名講師)

Q:支承アンカーの箱抜き位置について、下部工への影響を考えて変更することはよくあるのか。
A:基本的に鉄筋を切断しないように位置を調整する。必要に応じて支承本体を変更する場合もある
Q:排水管が検査路のブラケットと干渉する場合、ブラケット位置はどう修正するか?
A:標準設計のスパン長さを超えない範囲で変更する。やむを得ずスパンが長くなる場合は、応力計算を実施して変更している

3.長大橋・特殊橋における点検・補修設計と施工(有井講師)

Q:点検者から見た設計への留意点は何か?
A:いろいろあるが、水回りは特に重要。計画通りには排水されていない状況がしばしば見られる。点検のしやすさについても、その場をイメージしながら配慮していただきたい

Q:ケーブル点検ロボットについて、ケーブルの太さが異なる場合の対応は?
A:対応可能だが案件に応じてハード的に改良することもある

Q:ドローンを使用した点検の現状は?
A:飛行に関する規制が出来たことと、発注者としては事故に対しての不安があり、許可がいただけないことが多い。

Q:点検チェックリストの活かし方は?
A:定点観測により経年の変化が捉えられるようにしている。また、評価においても個人差を極力なくす目的もある

Q:点検に関する新技術について紹介していただきたい
A:NETISには多くの点検技術が登録されている。今回の点検ロボットは実用域に達した新技術として紹介した

Q:下げ振りを利用した点検について詳細がお聞きしたい
A:吊り橋のケーブルを束ねた基点のスプレーバンドは、通常コンクリート製の大きな台に載っている。今回紹介した鋼製の支柱はコスト縮減のための特殊事例で、新たな試みである。ケーブル応力による支柱の異常変位や変位量の変化などをチェックするために下げ振りを利用している

Q:発注仕様書において点検仕様が明確でない場合、金額面で差が大きくなるケースがあると思うが、その対応はどうされているのか
A:維持管理計画書が定まっていない特殊な橋梁や規模の大きな橋梁の場合は、事前に点検方法から提案する

平成28年度 現場見学会(平成28年11月11日)

若戸大橋補修工事(補剛桁鋼床版の連続化)の現場見学会が開催されました。
まず現場近くの「ウェルとばた」会議室にて北九州市道路公社参与の福本様による工事概要の説明、同工事現場代理人のIHIインフラシステムの牟田口様より海外吊橋の大規模補修工事についてご講演いただいたあと、バスに乗車し工事現場の見学を行いました。
 
日時 平成28年11月11日(金) 10時~15時
場所 若戸大橋補修工事現場(福岡県北九州市)
見学内容 補剛桁鋼床版の連続化工事
日程
第1部 技術講演会
10時00分~12時00分
講師
福本 英一郎 氏
北九州道路公社 参与
講演題目
若戸大橋のケーブル補修および補剛桁鋼床版連続化工事について
講師
牟田口 拓泉 氏
株式会社IHIインフラシステム 現場代理人
講演題目
第1、第2ボスポラス大橋の大規模補修工事について
 
会場
ウェルとばた 81、82会議室
 
参加者
41名
 
第2部 現場見学会
13時00分~15時00分
案内
北九州道路公社、IHIインフラシステム ご担当者様
 
工程
ウェルとばた・・・バス・・・わかちく資料館→若松側橋台→アビュレットブリジアム→補剛桁→ケーブルキャッウォーク→戸畑側橋台・・・バス・・・ウェルとばた
参加者
41名

講演会での質疑内容

(1)若戸大橋のケーブル補修および補剛桁鋼床版連続化工事について(講師 福本英一郎氏)
Q:腐食疲労とは?
A:腐食環境下において疲労強度が低下する現象。
Q:維持管理の中で耐震補強についてのどのように考えているか?
A:委員会の先生方にご意見を伺いながらダンパーの設置や主塔の補強を計画中である。
Q:主ケーブルの素線に破断が見られるが許容できる期間などの考えは?
A:当橋梁の素線はより線のため一本が破断しても直ちに応力が抜けることはないが、許容される期間や復旧方法については今後の課題である。
Q:施工中の耐震性については考慮されているのか?
A:断面補強を行った後に連続化を実施するため連続化されるまでは従来の構造での耐震性能で問題ないと考えている。
Q:若戸大橋の維持管理を通して後進の技術者におくるメッセージがあればお聞きしたい。
A:橋梁の維持管理に携わる皆に見に来てほしい。この橋を先例として勉強し将来に備えることが重要。いずれ行く末自分の親を看るのと同じである。
(2)第1、第2ボスポラス大橋の大規模補修工事について(講師 牟田口拓泉氏)
 ~都合により非公開とします~

平成28年度総会(平成28年6月24日)

平成28年度総会が以下の通り開催されました。総会にて平成27年度活動報告と平成28年度活動計画が審議・承認されたあと、事務局より幹事2名の増員とホームページ開設の報告がありました。引き続き、徳山工業高等専門学校の海田准教授と新日鐵住金(株)の高木様をお招きして基調講演会が開催され、活発な討議が行われました。
日時 平成28年6月24日(金)14時~19時
場所 山口大学常盤工業会館
日程
総会
14時00分~14時20分
基調講演
14時30分~16時30分
講師
海田 辰将 氏
徳山工業高等専門学校 土木建築工学科
講演題目
熊本地震における地盤・構造物被害
 
講師
高木 優任 氏
新日鐵住金株式会社 橋梁開発技術室長
講演題目
鉄鋼材料の製造技術の進歩と橋梁用高性能鋼の利用技術
 
参加者
55名
 
懇親会
17時~19時
参加者
29名
 

基調講演での質疑内容

(1)熊本地震における地盤・構造物被害(講師 海田辰将氏)
Q:倒壊した家屋は、築の古いものが目につくが近年建てられた家屋の被害は?
A:築10年ぐらいの家屋はクラック程度と見受けられた。
Q:今回の調査において、「頑張っているな」と思われた構造物はなに?
A:石橋。損傷を受けていたが内部の構造を目にすることができ貴重な経験であった。年代物であるがゆえに頑張っているとの感慨を得た。
Q:今回の地震は大きな前震と本震が連続して発生した過去に無いケースであるが連続して発生することを想定した耐震基準はあるのか?
A:あるハウスメーカーでは地震が連続して生じた場合を想定した実験を実施していると聞いたことがある。詳細はよくわからない。
(2)鉄鋼材料の製造技術の進歩と橋梁用高性能鋼の利用技術(講師 高木優任氏)
Q:鋼材の安全率1.7の根拠は?
A:戦後、降伏点の考え方が取り入れられ許容値から割り戻すと1.7倍程度であったらしい。
Q:長大橋などでSBHSが採用されている理由は?
A:従来鋼より強度が高く加工性や溶接性が改善されており従来鋼では板厚の厚くなる箇所に使用することで軽量化できるメリットがある。
Q:大入熱溶接鋼の性能は?
A:通常の鋼材に大入熱溶接を行うと組織が粗大化し靭性が劣化するが、大入熱溶接鋼はある元素を添加することで組織の粗大化を防止し靭性の劣化を防ぐことができる。
Q:大入熱溶接に適した鋼材かの判断は?
A:規格表示から判断する。
Q:わが国の鉄鋼産業の将来は?
A:海外製の鉄鋼材料は安価に入手できるものもあるが品質が劣る製品もある。日本製の品質の良さを数値や規格としてアピールしていく必要がある。

平成27年度 技術交流会(平成28年2月17日)

技術交流会が以下のとおり開催されました。これは会員相互の話題提供により技術の研鑽をめざすもので、今回はわが国でも屈指の規模の企業インフラである宇部興産専用道路と興産大橋について、その建設から維持管理、疲労寿命予測まで3題の報告がありました。そのあと、麻生先生をコーディネーターとしてパネルディスカッションを行い、会場の皆さんも参加して熱心な討論が行われました。
日時 平成28年2月17日(水)14時~19時
場所 常盤工業会館 2階会議室
日程
第1部 技術交流会
14時~17時
テーマ
興産大橋・宇部興産専用道路の過去・現在・未来
 
講師
住居 孝紀氏
トキワシビルテクノ技術士事務所
講演題目
興産大橋の建設記録ビデオ上映と設計・施工
 
講師
田中 滋氏
宇部興産コンサルタント株式会社
講演題目
興産大橋と宇部興産専用道路橋梁の現状と維持管理
 
講師
和多田 康男氏
宇部興産機械株式会社
講演題目
宇部興産専用道路橋梁の寿命予測
 
パネルディスカッション
興産大橋から見た土木鋼構造物の過去・現在・未来

コーディネーター
麻生 稔彦氏
山口大学大学院
 
パネラー
海田 辰将氏
徳山工業高等専門学校

住居 孝紀氏
トキワシビルテクノ技術士事務所

田中 滋氏
宇部興産コンサルタント株式会社

和多田 康男氏
宇部興産機械株式会社
参加者
48名
 
第2部 意見交換会
17時30分~19時
内容
参加者によるフリーディスカッション
 
参加者
30名
 

平成27年度 現場見学会(平成27年11月25日)

関門橋リフレッシュ工事の現場見学会が下記のとおり開催されました。
海峡メッセ下関会議室にて、関門橋の建設に携わられた元徳山高専教授の村上先生と、現在リフレッシュ工事を担当されているNEXCO西日本今村様によるご講演のあと、バスに乗車し工事現場の見学を行いました。
日時 平成27年11月25日(水) 10時30分~15時30分
場所 関門橋リフレッシュ工事現場(山口県下関市~福岡県北九州市)
見学内容 関門橋のリフレッシュ工事(塗替塗装、疲労き裂対策)
日程
第1部 特別講演会
10時30分~12時30分
講師
村上 己里先生
元徳山工業高等専門学校教授
講演題目
関門橋の設計と施工について
 
講師
今村 壮宏氏
西日本高速道路株式会社
講演題目
関門橋のリフレッシュ工事について
 
会場
海峡メッセ下関 804会議室
 
参加者
42名
 
第2部 現場見学会
13時30分~15時30分
案内
西日本高速道路株式会社 今村壮宏氏、他職員担当者様
 
工程
(A班)海峡メッセ下関・・・バス・・・みもすそ川公園→関門橋主塔・塔頂→点検車→補剛桁→アンカレイジ→壇ノ浦PA・・・バス・・・海峡メッセ下関
(B班)A班の逆
参加者
41名
 
現場見学会後のアンケート
現場見学会について参加された会員の皆さんを対象にアンケートを実施しました。
寄せられた貴重なご意見を参考にし、行事活動のよりいっそうの充実を図っていきたいと思います。

アンケート実施期間: 12月7日(月)~12月18日(金)
回答者の属性
回答総数は31名で参加者の74%。
所属は建設会社が4割、コンサルタントが6割で、年齢別には40才代が36%、続いて60才代が29%、50才代が16%、30才代13%、20才代6%でした。

開催時期、時間
時期は約7割が満足、やや満足との回答でしたが、年度末や天候の不順な冬季をさけ4月~10月を希望する意見がありました。
時間的にはほぼ適当、また、設備やものの見学のみでなく実際に作業を行っているところが見たかったという回答もありました。

行事内容
講演会、現場見学会ともほぼ満足との回答が得られましたが、自由記述欄に今後の参考となる意見が多数寄せられました。若戸大橋、三菱重工、興産大橋、山陰道といった具体的な現場をあげる一方で、実際の業務に直結した身近な鋼橋の架設や補修現場の見学や講演会を希望する意見もありました。

平成27年度総会(平成27年6月12日)

平成27年度総会が以下の通り開催されました。総会にて会長の選出、会則、平成27年度活動計画等について審議・承認されたあと、山口県土木建築部の藤山様と大林組広島支店岩崎様をお招きして基調講演会が開催され、活発な討議が行われました。
日時 平成27年6月12日(金)13時10分~19時
場所 山口大学常盤工業会館
日程
総会
13時10分~13時40分
基調講演
14時30分~16時30分
講師
藤山 一郎氏
山口県 土木建築部
講演題目
山口県の社会資本整備について
 
講師
岩崎 哲也氏
株式会社大林組 広島支店
講演題目
東京スカイツリー®の建設~世界一の高さへの挑戦~
 
参加者
57名
 
懇親会
17時~19時
参加者
30名
 

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土木鋼構造研究会
所在地
〒755-8633
山口県宇部市大字小串字沖ノ山1980番地 UBEマシナリー株式会社 橋梁・鉄構事業部内
研究会主旨
私たちは、山口大学麻生教授を中心とした土木鋼構造物に関する産学の研究会です
活動内容
  • 鋼橋等、土木鋼構造物に関する最新情報の交換の場を提供する
  • 地域社会における土木鋼構造物の広範囲な問題について、会員相互の研鑽の場を設け、会員の知識・技術の向上を図る
  • 建設現場や施工事例の視察を行い、地域に密着した課題や工夫についての共通認識を醸成する
  • 土木鋼構造物の建設および維持管理に有用と思われる資格取得の支援等を通し、若手技術者の育成を図る
  • その他、本会の主旨を実現するための活動
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